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山口地方裁判所 昭和46年(わ)51号 判決 1971年12月14日

本店所在地

宇部市新天町二丁目一番二四号

商号

有限会社 関西工芸社

代表者代表取締役

阿山光男

本籍

宇部市新天町一丁目二番地の三一

住所

同市西区浜五八区

有限会社関西工芸社代表取締役

阿山光男

昭和五年三月一三日生

右被告会社有限会社関西工芸社、被告人阿山光男に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官清水博出席のうえ審理をし次のとおり判決する。

主文

被告会社有限会社関西工芸社を罰金八〇万円に、被告人阿山光男を罰金四〇万円に各処する。

被告人阿山光男において右罰金を完納することができないときは金二五〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。

訴訟費用は被告人阿山光男の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社有限会社関西工芸社は宇部市新天町二丁目一番地の二四に本店をおき、宇部、防府、徳山に営業所を設け、花輪製造、スライド広告業、旅館経営を営業目的とする資本金四〇〇万円の有限会社であり、被告人阿山光男は被告会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括掌理していたものであるが、被告人阿山光男は、被告会社の業務に関して法人税を免れようと企て、同会社の旅館の売上金の一部を売上伝票を改ざんして除外し、公表帳簿に計上せず架空名義の簿外預金を蓄積するなどの不正な方法によりその所得の一部を秘匿したうえ、昭和四二年三月一日から同四三年二月二九日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が一七、三八六、九八一円でこれに対する法人税額は、五、八五八、一〇〇円であつたにもかかわらず、昭和四三年四月二二日宇部市常盤町一丁目八-二二所在の宇部税務署において、同税務署長に対し所得金額は五、七八七、三九九円でこれに対する法人税額は一、八一五、四〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の正規の法人税との差額四、〇四二、七〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する各供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問顛末書

一、小西恵一(二通)、古谷幸明、山口博子、中村進三、目ミサ子、小沢道子、溝口ハツ子、松本節代の検察官に対する各供述調書

一、脱税額計算書

一、法人税決定決議書一綴(昭和四六年押第四五号の三)

一、偽名普通預金済元帳九枚(同号の四)

一、<秘>取引状況調一綴(同号の四)

一、偽名定期予金済元帳六六枚(同号の六の一)

一、右同一〇枚(同号の六の二)

一、為名預金担保手形貸付元帳一五枚(同号の七)

一、取引先カード一三枚(同号の八)

一、メモ一枚(同号の九)

一、定期預金元帳及び印鑑票二二枚(同号の一〇)

(法令の適用)

被告人阿山光男の判示所為は法人税法第一五九条一項、七四条に諺当するので、所定刑中罰金刑を選択し、所定罰金額の範囲内において、同被告人を罰金四〇万円に処し、右被告人阿山光男の本件犯行は被告会社の業務に関してなされたものであるから、同法一六四条一項、一五九条一項により、所定罰金額の範囲内において被告会社を罰金八〇万円に処し、被告人阿山光男において右罰金を完納することができないときは刑法一八条に則り金二、五〇〇円を一日に換算した期間同被告人を労役場に留置し、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文を適用して被告人阿山光男に負担させることとする。

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 野曾原秀尚)

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